放射線治療の故郷

~備忘録!日常の診療でフッと思った疑問の解消に~

医学生が知っておくべき放射線治療の知識②〔医学各論〕

医学生

医師国家試験出題基準に取り上げられているキーワードの解説

●医学各論

放射線治療がそれぞれの領域でどのような位置を占めているかという「癌治療の中の放射線治療」という考え方が必要である。

1) 脳腫瘍

放射線抵抗性の多形成膠芽腫の治療は腫瘍を可能な限り摘出する。これにより、症状の改善が得られ、病理が確定する。

術後照射として残存腫瘍に対してテモゾロマイド同時併用による化学放射線治療を施行する。MGMTプロモータにメチル化が生じている場合が良好な予後因子であり、長期生存例にIDHの変異例が多いと報告されている。

胚芽腫は化学療法単独では治癒を望むことはできず、放射線治療は必須である。発症年齢が低いために、高次脳機能の障害を減らすために照射線量を減らす試みがなされている。照射野は髄液を介した転移を考慮して全脳室照射とする。

髄芽腫は髄膜播種を高頻度に認めることから手術のみでは治癒不能であり、術後の放射線治療は必須である。照射野は全脳全脊髄照射が標準である。

2)頭頸部

機能と形態を温存するためにも放射線治療の役割は大きい。放射線治療は常に考慮すべき治療であり、手術療法から化学放射線療法に置き換わりつつある病態も多い。

上咽頭癌では放射線治療はすべての病期にわたり、標準治療である。声門癌のI期は放射線治療単独で発声という機能を温存して9割を越える5年無病生存が得られる疾患であり、標準治療となっている。

3)乳癌

乳房温存術後に放射線治療を施行することにより、乳房内再発率が低下し、生存期間が延長することが臨床試験において証明されており、温存術後の接線照射は標準治療となっている。

4)肺癌

小細胞肺癌と非小細胞肺癌に分けられる。小細胞肺癌の治療の主体は化学療法であるが、放射線治療の感受性が高く、適宜、放射線治療の追加は必要である。

Ⅲ期以上の非小細胞肺癌の治療の主体は化学放射線療法である。照射野の範囲の決定にPETは有用である。I期非小細胞肺癌では定位放射線治療により手術と同等の成績が得られている。

5)食道癌

手術不能の場合は、化学放射線療法がすべての病期で適応となりうる。

6)子宮頸癌

日本ではI、Ⅱ期は切除されることが一般であるが、欧米ではI、Ⅱ期も放射線治療が行われることが多い。

Ⅲ期、Ⅳa期は放射線治療が第1選択である。外照射と腔内照射の併用が一般で、腔内照射の線量の基準点としてA点が用いられる。A点は外子宮口を原点として子宮腔内に向かって2cm、そこから直角に外側に2cm離れた点である。

7)悪性リンパ腫

病期Ⅰ-Ⅱ期の濾胞性リンパ腫の第一選択は放射線治療である。一般には化学療法(CHOP)後に腫瘍の浸潤範囲に放射線治療を施行する。胃 MALTリンパ腫では、ピロリ菌の除菌後に残存を認める場合に照射する。

8)緩和的放射線治療

放射線治療はうまく使えば緩和治療としても有効である。最も多く用いられているのは骨転移に対する疼痛解除目的の治療である。腫瘍出血に対しての止血にも有効である。